Column.73
愛知県陶磁美術館 ~やきものの世界を旅する、大人女子のアートな休日~
「愛知県陶磁美術館」は、国内屈指のコレクションを誇る陶磁専門ミュージアム。2025年春に本館がリニューアルし、より利用しやすくなった美術館へお出かけしませんか?日本・世界の陶磁作品を鑑賞できる愛陶コレクション展、自分だけの器が作れる作陶&絵付け体験、喫茶と器を楽しむ茶室まで、大人女子のアートな休日にぴったりです。
車またはリニモでも、アクセス便利!
美術館があるのは、モリコロパーク(愛・地球博記念公園)からもほど近い、瀬戸市の南側に広がる丘陵地。車の場合は名古屋瀬戸道路「長久手IC」から約5km。公共交通機関の場合は、リニモ「陶磁資料館南駅」から、歩道を進んで約600m(徒歩15分ほど)で敷地内に到着します。
陶製狛犬のインスタレーションがお出迎え
本館1階ホールで最初に出迎えてくれるのが、陶器で作られた狛犬たち。「リ•デザイン•狛犬」と題された展示では、江戸時代後期を中心とした作品が、約80体展示されています。陶製狛犬は全国でも珍しい、瀬戸・美濃の貴重な文化財。さまざまな願いを込めて制作され、神社などに奉納されたそうです。
※国際芸術祭あいちの会期中など、展示がない場合もあります。
近づいてよく見ると、キリっと凛々しい狛犬から、ユーモラスで愛らしいものまで、一体一体が本当に表情豊か。ぜひ、あなたのお気に入りの一体を見つけてみてください。
◇◆大人女子のときめきポイント!◆◇
狛犬=神社というイメージだったので、美術館で見るのはなんだか新鮮でした。しかも、すべて陶製とは、さすが瀬戸ですね♪
オブジェとしてもかわいくて、自宅のインテリアに飾りたいくらい…!
なお、本館の建物は、数々の博物館を手がけた名建築家・谷口吉郎の設計によるものです。デザイン性の高い空間を生かし、インスタレーションとしていつもと違った視点で狛犬を眺めることができます。天井から吊るされた、古代の首飾りを模した切子玉形の照明「オークラ・ランタン」と狛犬の組み合わせもユニークで、クラシカルモダンな雰囲気が素敵です。
リニューアルに伴い、新たにガイドアプリ「ポケット学芸員」が導入されました。スマホでアプリをダウンロードし、作品番号を入力すると、解説を耳で聞きながら作品を鑑賞することができます。アプリの利用は無料で、通信には館内Wi-Fiが利用可能。展示ではわからない、別角度の画像なども見ることができます。
本館1階では、リニューアルしたトイレにも立ち寄りましょう。ここでは、瀬戸・常滑の陶芸作家が制作した洗面鉢に注目を。優美な植物が描かれた作品や、鉢に陶片がくっついたような遊び心ある作品など、それぞれに陶芸作家の個性が光ります。どこで手を洗おうか迷ってしまいそう♪
充実のコレクション展で、やきものの世界を旅しよう
展示室では、これまでの常設展が、愛陶コレクション展「世界はやきものでできている」としてパワーアップ!8800点もの所蔵作品から、「日本」「中国」「世界」の地域やテーマ別に、常時500点ほどが展示されています。さまざまな色や形の作品を眺めていると、この器は誰に・どう使われていたんだろう?思わずそんな想像が膨らみます。
さらに驚くのが、展示物がすべて本物だということ!反射を抑えた特殊なガラスケースや、ケースのない展示物などもあり、作品の細部まで見ることができます。年に1~2回、展示替えが行われるため、足を運ぶたびに新しい出合いがあるはず。また、趣向を凝らした企画展・特別展もお見逃しなく!
◇◆大人女子のときめきポイント!◆◇
この日訪れた、愛陶コレクション展の特集展示「芙蓉手に憧れて」では、各国の「芙蓉手」の器が並んでいました。中央の円と、それを花びらのように取り囲むデザインは、華やかで気品があり、しばしうっとり。かつて世界が熱狂したというのも納得です!
※特集展示は、その時々で展示作品が異なります。
作陶・絵付け体験で、自分だけの器を作ろう!
続いて向かったのは、「つくるとこ!陶芸館」。ここでは1kg単位で粘土を購入し、器やカップ、オブジェなどを自由に作ることができます。今回は、自分へのお土産として、マグカップ作りに挑戦!塊の粘土から、どんな形のカップを作ろうか……工作気分でワクワクします♪作陶経験がなくても、陶芸指導員によるデモンストレーションやレクチャーを受けられるので安心ですよ。また、カラフルな仕上がりにしたい場合は、オプションで顔料を購入し、粘土に練り込むこともできます。
カップの形ができたら、その後の素焼き、釉がけ、焼き上げの工程は陶芸指導員さんにバトンタッチ。釉薬は美術館オリジナルの9種類の色合いから選ぶことができます。
焼き上がりは1か月後で、直接引き取りまたは郵送も可能。世界で一つだけの、お気に入りのマグカップが完成しました!
作陶体験のほか、素焼きの皿やカップに好きな絵を描く「絵付け体験」や、狛犬や抹茶椀づくりなど、テーマに沿ったワークショップ(開催日は公式サイトを確認、事前予約制)も開催されています。
下の写真は、「印花皿(いんかざら)」の体験の様子(ワークショップの一例)。粘土板に、陶製のスタンプを押したり線をつけたりして模様をつける手法のひとつで、陶芸指導員さん曰く、コツは「頭を空っぽにして落書きを楽しむ」こと。スタンプを押すたびに様々な模様が表れて、思わず夢中になれちゃいます!
◇◆大人女子のときめきポイント!◆◇
絵心がなくても、スタンプを押すだけで模様が作れるのがうれしいですね。カフェで出てくるような、かわいいお皿が簡単にできちゃいました!
※特別な体験ができるワークショップは、公式サイトを要チェック!
~「つくるとこ!陶芸館」の体験受付時間~
9:30~14:30 ※休館日は美術館と同様
【作陶】一般1000円、中学生以下850円
※実習室使用料、焼成料、材料費(粘土白土1kg)込、2時間利用の場合
【絵付け】一般1000円、中学生以下850円
※実習室使用料、焼成料、材料費(皿・カップ)込、2時間利用の場合
「窯の記憶I・II」で、古今の瀬戸を体感
「つくるとこ!陶芸館」近くの「窯の記憶I・II」では、美術館敷地内で発掘された11~14世紀にやきものを焼いた窯跡が見学できます。中でも、「窯の記憶II」のダイナミックな窖窯(あながま)と、現代の瀬戸の風景が描かれたタイルの陶壁作品(《瀬戸風景2022》川田知志 2022年)は必見! 瀬戸の古代中世と現代が一つの空間に共存する、不思議な世界観に圧倒されるはず。
茶室「陶翠庵」で楽しむ、喫茶と器
展示見学や体験後には、敷地内の茶室「陶翠庵」で一息つきましょう。季節の植物が彩るアプローチを進み、入り口を開けると、にじり口のある茶室とテーブル席を備えた和モダンな空間が広がります。茶室と聞くと少々敷居が高く感じられるかもしれませんが、リニューアル(2025年5月2日オープン)で、喫茶と器をより気軽に楽しめる場に生まれ変わりました。
こちらでぜひ味わいたいのが、抹茶とお菓子のセット(900円)。
陶芸作家の茶碗で抹茶をいただけます。そして、一口サイズのかわいいお茶菓子は、食べるのがもったいないほど!
自分で餡を詰める最中や、さまざまな形の干菓子などが華やかに並び、目も楽しませてくれます。
※ 営業時間:11:00~美術館の閉館時間に準ずる
※ 営業日:土日祝中心(公式サイトでご確認ください)、不定休
◇◆大人女子のときめきポイント!◆◇
やきもの好きなら見逃せないのが、抹茶碗。瀬戸をはじめ、地元を中心とした陶芸作家さんの器が使われており、今日の器は何かな?とワクワク。こうした楽しみ方ができるのは、やきもののまちならではですね!
美術館を堪能した後は、瀬戸のまちに足をのばすのもおすすめ!
美術館の敷地内には、豊かな自然と調和するように建物が点在しています。望楼や、美しい建物の外観や屋外展示もみどころいっぱい。心地よい季節には、散策をしたり、芝生でのんびりくつろいだり、豊かな時間を過ごせます。
また、美術館で鑑賞や体験をした後に、瀬戸のまちを散策して、お気に入りの器を探してみるのも◎!
見て、味わって、体験して、やきものの魅力に触れる大人の休日を過ごしてみませんか?
Spot Overview
愛知県陶磁美術館瀬戸市
日本最大級の窯業地・瀬戸市に位置し、やきものファンには「愛陶」の愛称で親しまれる陶磁専門ミュージアム。縄文土器から現代陶芸に至るまで、日本とアジアを中心とした世界のやきものコレクションは約8800点! 国内屈指の規模を誇ります。
また、敷地内には陶芸体験ができる「つくるとこ!陶芸館」や、歴史ロマン漂う古窯跡「窯の記憶I・II」、器とお茶を楽しめる茶室「陶翠庵」もあります。陶磁の歴史や文化に触れながら、より深くやきものの魅力を体感することができます。