千年の雅、名古屋に甦る。 ― 国宝「源氏物語絵巻」と過ごす、上質なひととき ― | 【公式】愛知県の観光サイトAichi Now

国宝 源氏物語絵巻

Column.76

千年の雅、名古屋に甦る。 絵巻が誘う、雅なる名古屋の旅。
― 徳川美術館90周年記念「国宝 源氏物語絵巻」特別展 ―

徳川美術館では開館90周年を記念し、10年ぶりに名古屋の地で「国宝 源氏物語絵巻」を一堂に公開します。 日本を代表する最も有名な絵巻の一つであり、美麗な装飾料紙に流麗な筆跡でしたためた詞書など、見る者を魅了する源氏物語。 今回の特別展での見所を余すことなくご紹介します。周辺観光や宿泊も合わせて、歴史に思いを馳せる1日を過ごしてみてはいかがですか。

紫式部が「源氏物語」を発表してから約1世紀後、今からおよそ900年前に製作されたといわれ、徳川美術館に物語の16帖分、五島美術館に4帖分を所蔵するのみ。貴重な文化財のため常設展示はできず、毎年11月後半に、所蔵作品の中で2場面のみ期間限定で公開しています。
今年は、開館90周年を記念し五島美術館の分もあわせて一堂に公開します!滅多にないこのチャンス・・・あなたを、源氏物語の世界に誘います。

●国宝 源氏物語絵巻の世界へようこそ・・・

国宝「源氏物語絵巻」は、日本の絵画を代表する名品にして、紫式部の『源氏物語』を絵画化した現存最古の源氏絵です。
絵は、やまと絵特有の「作り絵」という描法で、「引目鉤鼻」と呼ばれる人物の顔の表現、屋根や天井を取り払って俯瞰的に描く「吹抜屋台」の手法などにより、物語の抒情性や登場人物の心の動きまでもが見事に描き出されています。詞書は、11世紀以来の伝統を受け継ぐ優美な連綿の書風や藤原忠道(1097~1164)に始まる、法性寺流の新様の書風など五種類の書風(徳川美術館所蔵分は4種類)が混在しています。詞書は抄出文ですが、平安時代にさかのぼる現存最古の『源氏物語』のテキストとして、その価値は極めて大きいと言えます。

徳川美術館 開館90周年記念 特別展「国宝 源氏物語絵巻」
【開催期間】2025年11月15日(土)~12月7日(日)
【開館時間】10:00~17:00(入館は15:30まで) 混雑が予想されるため、通常時より1時間早く入館受付を終了します。
【休館日】月曜日(祝日・振替休日の場合は翌平日)
【観覧料】一般:1,600円/高大学生:800円/小中学生:500円 ★毎週土曜日は小中高校生入館無料
【アクセス】
<電車>JR「名古屋」駅から「大曽根」駅下車。南出口より徒歩約10分
<車>名古屋第二環状自動車道「楠IC」より20分
【注意事項】
・会期中は大変な混雑が予測されるため、団体の受け入れを停止しております。ご了承ください。
・本展覧会会期中は混雑緩和のため再入館を不可とさせていただきます。また、各展示室の入室(観覧)も一度のみとさせていただきます。

 

<潜入レポート>展示の見どころを余すことなくご紹介します!

映画『国宝』の大ヒットのほか、万博開幕にあわせ関西3都市(大阪・京都・奈良)で「国宝」にまつわる大規模な特別展が開催されるなど、空前の国宝ブームだった2025年。今年を締めくくるのにふさわしい「国宝 源氏物語絵巻」が徳川美術館で開催中です。

2024年のNHK大河ドラマ『光る君へ』も記憶に新しい、紫式部が世界最古の長編小説『源氏物語』を著したのは、今からおよそ1000年前の平安時代中期。それから約100年後に『源氏物語』を文章(詞書)と絵で表現した「源氏物語絵巻」がつくられて以来、平安から現代まで繰り返し絵画化されてきました。中でも、現存最古にして最高傑作とされるのが、徳川美術館と五島美術館(東京)が所蔵する国宝「源氏物語絵巻」です。徳川美術館では開館90周年を記念し、国宝「源氏物語絵巻」を10年ぶりに全巻一挙公開しています。

1.全巻一挙公開 ~現存する絵20場面が勢ぞろい!

国宝「源氏物語絵巻」は、尾張徳川家の伝来品が徳川美術館、蜂須賀家の伝来品が五島美術館で所蔵されており、一斉公開は5年に1度(徳川美術館、五島美術館交互に開催)。コロナ禍で2020年の五島美術館での展示が中止となったため、今回が10年ぶりの開催となります。
徳川本と五島本が一堂に会することで、『源氏物語』の神髄ともいえる名場面、第36帖「柏木」~第40帖「御法(みのり)」を通しで鑑賞できるのが大きな醍醐味です。

2つの不義密通にご注目!
 >第36帖「柏木(三)」 ~光源氏と藤壺中宮

本展のポスターにも採用されている、光源氏が赤子(薫)を抱く場面です。現存場面の中で唯一、光源氏を正面から捉えています。妻・女三宮と甥・柏木の密通によって生まれた子と知りながら、あくまで我が子として抱くその姿には、かつての過ちへの因果応報としみじみ思う気持ちと、父としての慈しみが同居しています。
絵巻の保存・修復作業で赤外線撮影したところ、完成図の赤子の手は衣にくるまれていますが、下絵では赤子が光源氏に向かって腕を差し出していることがわかりました。当時の絵師が『源氏物語』をどう解釈し、絵巻にどう表現するかに心を砕き、試行錯誤していた痕跡をうかがうことができます。

 >第38帖「鈴虫(二)」 ~柏木と女三宮

二千円札の図柄にも採用された、光源氏が冷泉院と向かい合う場面です。冷泉院は表向きは光源氏の異母弟ですが、実は光源氏が若き日に藤壺中宮との密通によってもうけた実の子。互いに真実を口にすることのないまま、光源氏を慕う冷泉院と、何も知らない光源氏の実子・夕霧が一直線上に並び、複雑で奥深い人間模様が象徴的に描かれています。

2.修理による巻子装の一斉初公開 ~物語への没入体験を味わおう!

展示される国宝絵巻は、徳川家伝来の「徳川本」と実業家・五島慶太が所蔵した「五島本」の二系統に分かれます。徳川本は昭和7年に“3巻の巻子装”から“額装”に改装されましたが、劣化や台紙の反りにより保存リスクが高まったため、再び“15巻の巻子装”へと復元されました。令和3年に前期・後期の入れ替え展示で修復の成果を公開しましが、巻子装の全巻一挙公開は今回が初めてとなります。
額装から巻子装になった徳川本は本紙の周囲の台紙がなくなった分、ひとまわり小さく感じられますが、詞書の料紙が横に一続きになったことで、微妙な地色の変化、全面に散りばめられた金銀のきらめきや連続性を堪能することができます。
美しい料紙に書かれた流麗なかな文字を味わった上で絵を眺める……平安貴族たちの絵巻鑑賞をぜひ追体験してください。

3.平成復元模写の展示 ~現代の知見と技が生み出した、もう一つの美

復元模写も見どころの一つです。国宝「源氏物語絵巻」は、900年の時を経て、変色や褪色、絵の具の剥落などが見られますが、これらを平安時代の本来の姿によみがえらせるため「平成復元模写事業」が実施されました。最先端の科学技術分析と学術調査をもとに、現代の画家が緻密な作業を重ねて再現した色彩により、絵の解像度がぐっと上がり、平安の王朝人たちが目にしたであろう鮮やかな絵巻の世界がよみがえりました。
古美術を見慣れていない方は、まずこの復元模写から鑑賞してみてください。登場人物の装束や邸宅内の調度品、四季折々の自然描写など、細やかで丁寧な描写をしっかりと頭に焼き付けた後、国宝絵巻を鑑賞すれば、制作当時の鮮やかな色彩が脳内再生できるはずです。
さらに、第15帖「蓬生(よもぎう)」の蓬の生い茂る庭など、ふんだんに使用された銀にもご注目!
黒く変色した銀が本来の輝きを放ち、見る角度によってきらめきが変わる感動をぜひ味わってください。

展示期間は12月7日(日)まで、展示替えなしの3週間という大変短い期間です。
平安時代の貴族たちの雅やかな世界観、900年近く守り続けられてきた歴史の重み、復元模写によってよみがえる絵巻の美を、巻子装(徳川本)と額装(五島本)という異なる姿で同時に鑑賞できる貴重な機会となっています。
「形を変える国宝」として歩んだ数奇な運命を、ぜひご自身の目で確かめてみてください。

 
 

美しい日本庭園で、しっとり大人の紅葉観賞。

池泉回遊式の日本庭園が堪能できる徳川園では、11月14日(金)より、「錦を纏う 徳川園紅葉祭」を開催します。
園内ではモミジなど約100本の木々が鮮やかに色づき秋の訪れを感じますよ。
期間中(対象日)は夜間ライトアップも行われ、しっとりと大人時間を過ごせます。特別展と合わせて楽しみたいですね。

 

名古屋観光ルートバス「メーグル」で楽しむ、
徳川美術館と周辺スポット散策

徳川美術館へお出かけの際は、名古屋観光ルートバス「メーグル」の利用が断然おすすめ!
名古屋駅から名古屋城、徳川園など、中心部の人気スポットをぐるっと巡る便利な巡回バスです。
徳川美術館にも停車するので、アクセスもラクラク。さらに、「文化のみち二葉館」や「市政資料館」など、周辺の見どころにもそのまま立ち寄れるんです♪名古屋の歴史と文化を、メーグルで効率よく楽しんでみてはいかがでしょうか。

【運賃(1乗車)】大人210円、小児100円 【メーグル1DAYチケット】大人500円、小児(原則小学生)250円
「メーグル1DAYチケット」を沿線施設の入場料や飲食店、土産物店で提示すると割引などの特典を受けられ、1日お得に楽しめます。
都心ループバスC-758系統にも乗車する事ができます。

 

ノスタルジックな風景に誘われて。情緒ある町並みを巡る旅

●文化のみち周辺散策
徳川美術館から名古屋観光ルートバス・メーグルで1つ目のバス停「文化のみち二葉館」周辺エリアは、レトロ散歩にぴったりの町です。オレンジ色の洋風屋根がひときわ目を引く「文化のみち二葉館」や、大正ロマンの趣に浸れる「文化のみち橦木館」など、懐かしさと華やかさが調和した街並みが広がります。さらに、少し足を延ばせば、国の重要文化財に指定されている「名古屋市市政資料館」など、歴史を感じる見どころも点在。名古屋の文化の香りをたっぷり味わえる散策コースです。
【AichiNow】文化のみち二葉館 詳細ページ
【AichiNow】文化のみち橦木館 詳細ページ
【AichiNow】名古屋市市政資料館 詳細ページ

●名古屋城 / 名古屋城本丸御殿
徳川家康公が天下統一の最後の布石として築城開始した名古屋城。徳川御三家のひとつに数えられる尾張徳川家の居城とされてきた歴史を持っています。
昭和20年5月に起きた名古屋空襲で焼失した本丸御殿は、かつての文献や実測図・古写真・障壁画を忠実に再現し、平成30年に再建されました。
江戸の城下町の歴史ロマンを感じられる、グルメ通り「金シャチ横丁」もおすすめですよ。
【AichiNow】名古屋城 / 名古屋城本丸御殿 詳細ページ
【AichiNow】金シャチ横丁 詳細ページ

●四間道の町並み・円頓寺商店街
四間道は江戸時代のはじめごろ、名古屋城の完成とともに造られた商人の町。
しかし元禄13年、不幸なことにこの地は大火に見舞われました。
万が一ふたたび火事が起きたとき、被害が最小限になるように、延焼を防ぐことを目的とし、四間(約7m)という広い道路に拡張した事から「四間道」という名がついたそうですよ。また、街並みの他、レトロな雰囲気のカフェなど路地裏のお店探しも楽しみの一つ。
【AichiNow】四間道の町並み 詳細ページ
【AichiNow】円頓寺商店街 詳細ページ

 

1日の締めくくりに贅沢な宿を。非日常的な「癒し空間」。

Spot Overview

徳川美術館名古屋市

開館は昭和10年(1935)。徳川家康の遺品を中心として、九男で尾張徳川家初代藩主の義直から代々伝わる遺愛品、家族が使用していたものなどさまざまな大名道具を見ることができます。収蔵数はなんと1万件以上にのぼるのだとか。
また、世界的にも貴重な国宝「源氏物語絵巻」を筆頭に、徳川美術館でしか見ることのできない貴重な品が保存状態も良く残されています。きっと、歴史を肌で感じることができるでしょう。


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